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受領委任について

2020.08.08

受領委任契約についてのお話

2020年は療養費の改定がございます。
そこで、まずは受領委任契約がどのようにして成り立っているのかご説明します。

柔道整復師的には、患者の療養費の内、『患者が院に一部負担金を支払い、残りの療養費を患者の代わりに受け取る』ものだと思われていますが、実際にはもう少々複雑です。

患者は施術を受けた対価として、院へ10割の支払い義務が発生します。
例えばこの金額を1000円として患者が院に対して支払った場合(ここで患者と院の債権債務関係が消滅します)、この支払に対して患者は『療養費として1000円の支払いをしたので、規定に則りこの金額の7割を保険金として返還してください』と保険者に対して請求(償還払い)するとともに、それが規定に沿ったものである限り、保険者はその金額の償還義務を負います(償還した時点で、患者と保険者の債権債務関係が消滅します)。

では、ここに受領委任が入るとどのようなことが起こるのでしょうか。

患者は受けたサービスに対して3割しか支払っておりませんので、その範囲以外である7割分は、院に対して支払い義務を負います。

その義務に対して猶予をもらう代わりに、柔整師がその分を患者に代わり受領することに同意する書類に署名をします。この時点では患者が7割分を支払う義務(院に対して療養費債務)を負っていて、院は患者に対して同額を支払ってもらう権利(患者に対して療養費債権)をもっています。

この金額を療養費支給申請書(以下、レセプト)に、明細とともに記載して患者が保険者に対して請求します。こうして保険者は患者に対して償還義務を負い、患者は保険者に対して償還してもらう権利が発生します。

このレセプトに対して保険者が償還を実行すると、患者の間に発生している、債権債務関係が消滅します。レセプト記載に則って、支払いは柔整師に対して行っていますので、今度は柔整師と患者との間に別の債権債務関係が発生します。

つまり柔整師は代わりに受け取った償還金を患者に返還する義務と、患者はそれを返還してもらう権利が発生します。
通常ここで発生する債権債務は上記、療養費債権と同額なので、暗黙の了解として相殺し完了することになります。

厚生局のホームページで受領委任契約の規定を確認することが出来ます。
自分たちがどの様な契約を締結して請求業務を行っているのか、今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
また、権利関係への理解を深めることで、保険者返戻の当不当の判断もしやすくなります。

コロナウイルスの影響で、4月の療養費検討委員会が中止になりました。
このまま改定が発表となる可能性も高いので、全く想定外の改定項目が出ることも十分にあり得ます。

発表され次第、随時情報発信していく予定です。

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